2021年11月13日土曜日

発狂の晩秋八重山 石垣島編

 先月末からお卒論に使えるサンプル収集を主目的に八重山(石垣・与那国)に遠征に行っていました。本来ならお卒論はもうまとめている時期ですが、この遠征は本来ならば夏に予定されていたものでした。それがあまりのコロナの流行の酷さとワクチン接種ができていなかったため泣く泣くいったん中止。もはやあまりにも遅すぎるサンプル収集ですが、コロナがここにきてかなり下火になったこともあり、どうしても自らの手で石垣与那国のものを採集しておきたく出撃しました。(西表島のものは既にもっていました。)その目標のモノに関しては環境さえ合えば直ぐ採れますし、そもそも採集がめちゃめちゃ難しい虫ではありません。そのため他の水生昆虫採集に時間を割くこともできるでしょう。なんといっても与那国は初上陸の島ですし、トゲアシアメンボなど国内では与那国にしか生息しないようなのも沢山います。今回はそんな遠征のお話を記憶が新しいうちにここに記しておきます。(専門外の生き物も載せています。誤同定などあればご教示くださいませ。)

注:本記事はその場その場の臨場感を出すべく、当時のテンションのままで書いています。そのためうるさいです。ご覧になる方はその点ご了承ください。。

石垣島編

2021 10/30
出発の日。今回の同行メンバーは同期のゴキブリ屋、多足屋、そして一個下の代のカマキリ屋。ワクチンを二回うち、かついくらコロナが一時的に下火になったとはい感染対策をおろそかにはできません。島に伺っている以上、そこはしっかりやろうです。消毒用エタノールは持参。17時すぎ、石垣空港に到着。宿に送ってもらいレンタカーを借りてとりあえず腹ごしらえだと八重山そばを食べました。おいちい。夕食後はとりあえず林道にいってみるかという話に。移動で疲れているはずだが離島に着くとエネルギーが無尽蔵。石垣の流水環境には全く詳しくないが同行者曰く以前は沢があったとという林道なので期待。林道の手前でお借りしたライトセットでちょこっとライトをやってみようということになりました。しかし風が強い。挙句雨まで降ってきてしまい、何のために設置したんこれっていう速度で撤収して、素直に林道に向かうことになりました。幸い林道に着くころには雨が止みかけていて助かりました。

アオスジコシブトハナバチってやつでしょう

林道に入るといきなり垂れ下がった枯れ枝にアオスジコシブトハナバチが三匹まとまって寝ていました。顎で枝を咥えているのが可愛すぎる。ゴキブリ屋はヤエヤマツチゴキブリやマルバネゴキブリを採っていました。ちょっと歩くと、その例の沢があったという場所につきました。が、水がない!!一滴もない!!うわああああああ。水がなければどうしようもない。仕方ないのでここは諦めることに。

オオハナサキでええんでしょうか

大きめのカエルが跳ねる。オオハナサキなのか。八重山のカエル。全然わからん問題が発生。勉強してくればよかったなあ。
ちっさいカエルも跳ねる。

ヤエヤマヒメアマガエル

ヤエヤマヒメアマガエルだ!これは僕にもわかるやつ。昨年だかに記載されたばかりなので記憶に新しいですね。

林道はとにかくナナフシが多い。至るところにナナフシが。


んででけえ。軒並みでけえ。ヤエヤマトガリナナフシってやつなのか。
とことこ林道を奥へ歩くと2本目の沢があるべき場所についた…が…。
ここにも水がない!!!どうした!!!!!そういう時期なんかなにこれ?割と規模ありそうな沢なのにからっからなんですけどなにこれ。同行者も困惑。でもまだあきらめません。どうやら山を下りた先にもう一本水量の多い沢があるらしいのです。林道はとりあえず見終わったらしいので引き返すことに。引き返す途中、行きに見かけていた水がたまったコンクリの枡をガサガサしてみました。こういうところには大抵ヤツがいるのだ…水面には多数のケシカタビロアメンボ。そして泳いでいる圧倒的な美麗カラーリングのゲンゴロウ!!逃がすかオラァ!!

リュウキュウオオイチモンジシマゲンゴロウ

いええええええええええええい。八重山では比較的簡単にとれるリュウキュウオオイチモンジシマゲンゴロウ!!上翅の模様があまりにも美しい。え、ホンシュウほうですか?採ったことないですけど??あっちもいつか採りたいものですな。
こういった枡はちらほら他にもありましたが、水があれば大抵このモンジが泳いでいました。他にもタイワンセスジゲンゴロウや、ウスグロヒラタガムシであろうものが採れました。モンジが採れると途端にお腹いっぱいになった感がでてきてしまいましたが、もう一本沢があるんじゃ。そちらへ向かいます。んでここは水が流れている!!!!やったぜ!!水があるだけで楽しめる人。パッと見た感じ、お卒論サンプルが採れる感じの沢ではないけど、水がある時点で勝ちみたいなものです。水面にライトを当てると無数に動くもの!!大きいのはタイワンシマアメンボ、そして小さいのはアシブトカタビロアメンボ!!

タイワンシマアメンボ Metrocoris esakii



アシブトカタビロアメンボは国内で最大のカタビロアメンボで3 mm前後あります。宮古島・石垣島・西表島から記録がありますが、僕は西表でしか採集しておらず、石垣島では初採集です。これが群れている絵面は壮観。長翅型もいるんですが、今回は採れませんでした。沢の岸の浅いところではイリオモテケシカタビロアメンボも採れました。西表島で過去相当苦戦した種だったんですが、石垣ではあっさり採れてしまいました。
気付けば日が回ってしまっていたので撤収!カマキリ屋はスジイリコカマキリが採れたらしく、良い顔をしていました。
初日は十分八重山成分を浴びながら終了。

10/31
二日目。午前中は海に行く予定にしていました。しかしちょっと宿でぐだぐだしていたら到着が遅れてしまう形に。干潮の少し前に入りたかったのに、満ち始めてからになってしもうた。まずい。ここは教えて頂いた某種のポイント。ウミアメンボはちらほらいるんですが、その目的の奴は見つかりません。しばらくあと、超高速で水面を滑走する何かが目に入ってきました。しかし一瞬で視界から消失。どこいった?しかしこれでやつがいるということは発覚しました。もう少し粘ろうと思いましたが、しっかり満ちてきてしまい撤退。んーーーー今日はこのぐらいにしておいてやる。また明日勝負じゃ。

午後はカマキリ屋が草地に行きたいというのであまりにも草地すぎる草地に。草地に水昆要素はないやろなあと思っていたんですが、牧草地の間に流れる沢とそれがたまった道路沿いの水溜まりを発見。助手席からちらっと見ると、黒い点が浮いている!!!
ストおおおおおおおおおっぷ!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!ツマキレオオミズスマシ!!!!

ツマキレオオミズスマシ
Dineutus australis

なんか勝手にもっと薄暗いところにいるのかと思い込んでいましたが、こんな日差しガンガンの道路沿いにできた水たまりにもいるんだ!!
この水たまり、このツマキレオオミズスマシだけでなく、愛しのオキナワスジゲンゴロウ(成虫幼虫ともに)やシャープツブゲンゴロウも採れました。アメンボはセスジアメンボがぽつんと一匹いました。異様に強い水たまりでした。感動。
肝心の草原の成果はというと、カマキリ的にはかなりよさげな環境なものの、成果は微妙らしいです。バッタの数はすごかったんですけどね。「まあまた時期かえてきますわ。」とのこと。

上空を飛ぶサシバ。

夕方は友人たちに「沢いっていい?」とお願いをして沢へ。本題のサンプル収集。
ついてすぐに同行者たちにも手伝ってもらって無事サンプルは採集できました。よしよし。一緒にタカラナガレカタビロアメンボが入ってきます。とことんカッコよいカタビロで大好きなので嬉しい限り。ここではもう一種とあるカタビロを狙っていたんですが、採れませんでした。むずい。

タカラナガレカタビロアメンボ
Pseudovelia takarai
たまらねえ~~

夜の部。とりあえず必要最低限のものは採れたので気が楽。昨晩いった山にまたいくことに。ゴキ屋と多足屋は夜が本番らしいので昨晩に引き続き大暴れしています。すごいテンション。多足屋はゴキブリも好きなのでゴキ屋と一緒に地面にしゃがみこんで側溝の落ち葉をあさっています。

ヒメマルゴキブリ
かわいい。

タイワンサソリモドキ
単純にかっこよい。

普段は見ない夜の生き物たち。専門がそれぞれ違う人たちと山を歩くと知らない生き物の名前がめちゃくちゃ耳に入ってくるので、情報量で頭がパンクしそうになります。まあそれが楽しいんですけどね。

林内に入れる道があったので少し入ると、こんなのが。

ナナホシキンカメムシーず

きらびやかすぎる!!南の島では普通に見かける本種ですが、ただでさえ見かけるたびに美しさに感動しているのに、こんなにあつまっていたら感動も倍増です。

ここでカマキリ屋が「バイカダ!!」と声をあげました!!
ふぉおおおおおおおおおおおおおお

サキシマバイカダ

う、うつくしい…。なんて優美な蛇なんでしょう…初見です。最高。良いものを見ることができました。

ゴキブリ屋が叫びだしたので何事かと思ったら、どうやらそうとう良いゴキブリがいたらしいです。滅茶苦茶楽しそう。
こうして二日目終了。明日が石垣でフルで動ける最後の日です。

11/1
石垣で動ける最終日です。とりあえず僕は昨日のリベンジをするべく海へ。他同行者の皆さんは山に籠るそうです。

というわけで海に置いて行かれました。でも干潮より45分前だぜ。
やってやる…やってやるぞ。

対戦宜しくお願いします。

まあ昨日みたいにそう簡単にはみつから…え?なんか高速で水面を滑走しているやついるんですけど?????あれこれそうだよねこれね?
しかし動きが爆速。人間では目で追うのがやっと。こういう時はとりあえず網で行き止まりに追い込んだらすぐ掬ってみよう。

よっしゃいっけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ


ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!南の青い海にこだまする叫び


サンゴアメンボ!!!!!サンゴアメンボですよ!!サンゴアメンボ!!ねえサンゴアメンボ!!うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

いるいるめっちゃいる!!慣れてきたら結構んで捕まえられる!!終盤もう「そこぉっ!!」とか「おそい!!!(おそくない)」とかエースパイロットかなにかみたいなセリフをはきつつサンゴアメンボとのバトルを楽しむ戦闘狂が爆誕していました。勿論数個体採って、他はリリース。
このサンゴアメンボ、満潮時には海没して過ごすらしく、干潮前後でしか水面を爆走する姿は見ることができないようです。んでみてくださいオス(白バック写真右)の前脚の凶悪さ。最高です。どっから動見ても最高です。何でしょうかこの虫。ちなみにアメンボ科ではなくサンゴアメンボ科です。本科は国内からこの一種のみが知られています。

同行者たちに採れたと連絡。向こうはまだ山の中らしいので、潮も満ちてきたし、ウミアメンボと戯れることにしました。(ちなみにサンゴカメムシとサンゴミズギワカメムシも探したんですが惨敗しました。実力不足感。)

ウミアメンボ
Halobates japonicus

う~ん。こっちも最高。ときどきこのブログで話していた遠洋性ウミアメンボとは違い、こちらは沿岸性で、港やマングローブ林など波の穏やかなところでみられます。南西諸島だと見やすいですね。遠洋性連中に比べて、少し大きいです。

そんなこんなで昼には山に行っていた同行者たちと合流。向こうの戦果も上々だったとのこと。とりあえず昼食を食べて、午後はなんかもうみんなだいぶ満足しだしたので、田んぼの様子を見に行くことに。

が、田んぼが渋い。看板にも「今年はダムの水がピンチです」みたいなことが書いてあって苦しい感じになってきました。

セイタカシギだ。

というわけで田んぼは水昆に関してはダメダメ。こればかりはしょうがないですね。
カマキリ屋はマエモンカマキリの卵鞘を見つけて喜んでいました。

まあまあでももうサンゴアメンボだけでも万事OKです。この後この日は明日朝イチで与那国へ出発ということもあり車の返却だなんだで夕方すこし山でゴキブリを探して終了。いいのです。なぜなら私はサンゴアメンボを採ったから。もう無敵です。誰にも負ける気がしません。

夜は宿でサンゴアメンボやみんなの採集成果を眺めつつお酒を飲み、寝ました。贅沢すぎる。これにてとりあえず石垣終了!!!!!!満足満足。

次回、与那国島編へ続く。

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