2020年7月27日月曜日

ウォーターマーク??

ウォーターマークってご存知ですかね?なんとなくここ最近よく聞くようになった気がする言葉ですが、本来は透かしの意味で、現在では画像の中に著作権表示などのために入れるうっすらした文字とかロゴを指すようです。
まあこのご時世、残念ながらいつ無断転載されるかなんかわかんないので、自分の写真を守るためにいれたほうがいいかも?みたいな話なわけです。

そこで、当ブログ中の人も最近白バックとかたまってきたし、そろそろなんかつくってみますか。と考えたわけです。
おめえのクソ写真なんか誰も転載しねえよ調子乗るな

まあ普通にgentilisっていれるだけでもいいんですけど、せっかくならなんかトレードマーク的なものをと思いまして、
つくりました。

なにこれ

gentilisって名前の由来はオオタカの学名 Accipiter gentilis の種小名から来ているわけです。
これは鳥見にハマるきっかけになったのがオオタカだったというのから来ていたりします。すいませんそこまでは聞いてないです。

というか、まあこれオオタカをモチーフにしたものの下にgentilisだけ書くとなんとなくオオタカの学名について混乱を招きそうですがあくまで、オオタカの学名は、
Accipiter gentilis です。よろしくおねがいします。

というわけでこれを今後白バックとか、まあよく撮れたんじゃない?みたいな写真には薄く載せていこうと思います。クソ写真には載せるだけ労力がかかりそうなので、最低限転載されたくないやつには載せます。余裕があれば全部載せます。

使用例です。

いつものオキナワスジゲンゴロウ Hydaticus vittatus

んほおおおおおおおおおオキスジいいいいい!!(もはや定型文)

まあいつもの白バックはこんな感じになるわけです。

お気に入りのワシカモメ Larus glaucescens

というわけで今後こういうマーク呪いみたいなのが発現する写真が本ブログにも登場すると思います。
転載したいならやってみろや!!(切り抜けば出来る気もする)













正直転載されるぐらいの実力がほしいです。

2020年7月24日金曜日

禁断症状

連日の雨とオンライン授業とかいうものから繰り出される数多の課題の多さにロクに野外にも出られず、ましてやここ一週間のコロナ事情で遠出も無理…(まあ遠出はしばらく無理だとは思いますが)
そろそろ水分が多いところに行かないと禁断症状が出そうだったので、午前中の曇り予想を信じいつも行っている近所の河川敷へ。

アメンボ Aquarius paludum

予想通りというか、数位も高いし、水たまりもあちこちに。

オタマさんず。めちゃくちゃいました。

残念ながらオタマから種類はわかりません…少なくとも僕には。
分かる人は分かると思います。
それなりの大きさになっていたし、脚が生えてきていた個体もいたので、この水たまりは長雨のお陰で長くあるものなのでしょう。

チビゲンゴロウ Hydroglyphus japonicus

水溜まりの常連であるチビゲン君も相変わらず数が多いです。
チビゲン君は大抵どこでも会えるのでパッとゲンゴロウ見たい方にもおすすめ。どんな人だよそれ。

カタビローず(白っぽく見える小さいの)

水面には多くのカタビロアメンボたちが。二種類いて、一種はもう当ブログではおなじみのホルバートケシカタビロアメンボで、もう一種についてはこのあと写真あげてすこし話ますね。

コシマゲンゴロウ Hydaticus grammicus
写真中央

こちらもみんな大好きコシマさん。顔見えてないですが。クソ写真炸裂
カタビロアメンボの類とか小さいのを見た後突然コシマとかが泳いでくると大きさにびっくりします。

陸上では…

マメコガネ Popillia japonica

北米では農業に大きな打撃を与える重要な害虫として、Japanese beetle と呼ばれているのはまあまあ有名な話ですな。

セマダラコガネ Exomala orientalis

こちらも北米では芝生の害虫として名を馳せ、Oriental beetle と呼ばれています。
セマダラ君、眼が合ってるみたいでキュンキュンしちゃいますね。おえええ←筆者の表現がきしょくてえずく音

次は…

ん?

えーーーーーーーーっと…。
これは…あれですかね…寄生蜂(?)…
寄生蜂が現在進行形で繭作ちゃってる系幼虫ですかね…
幼虫の腹部から黄色い蜂の幼虫みたいなのが見えてますね…
多分…多分そっち系ですよね…
寄生されている幼虫はだれでしょうか。ヒトリガの仲間?それともドクガの仲間?
もうなにもわかりません。教えて有識者~

鳥も載せましょう。

ホオジロ Emberiza cioides

良い声でさえずっておりました。一筆啓上仕り候~

さて、途中でお話したカタビロアメンボのうちもう一種を紹介しましょう。

ケシカタビロアメンボ Microvelia douglasi

はい、ケシカタビロアメンボです。
誰がどう見てもかわいいですね。
ホルバートと共にカタビロアメンボ科の普通種の一角を担う種で、色んな水場でみることができます。
(の割にここ最近は見かけるのはホルバートばっかりだったんですけどね。)

上の写真と同一個体。♂です。

2.0mmあるかないかぐらいのサイズ感で、ホルバートより気持ち大きく見える気がします。

こちらは♀

雄雌ともに体型がスリムです。細長いです。この点から比較的容易にホルバートと見分けがつくと思います。

生息地の様子

上の写真は今日沢山の水生昆虫たちが見られた水たまりです。ケシカタビロもホルバートと一緒に多数見ることができました。(というか本記事のアメンボ以外は全部この水たまりで撮ったやつです。)
他にはヒメゲンゴロウやホソセスジゲンゴロウ、ヒメアメンボ、エサキコミズムシなどが見られました。
いつも通りではありますが、やっぱり、
水溜まり、面白いですよ。

2020年7月20日月曜日

鍛錬?

ちょっとまえに、白バックモドキを撮る記事みたいなのあげたじゃないですか。あの偉そうな記事
アレにも写真で載せたんですけど、使ってるコンデジはマクロモードみたいなのがあるんですけど、そのモード使うとフラッシュ焚けないんですね。なので、ちっさい水昆に関してはかなりきついものがあると言い訳を今でもしているんです。
でも、でもなんですけど、最近なんか2~3mmぐらいの水昆ならなんとなーくましに撮れるようになってきたんですよ。

チビゲンゴロウ Hydroglyphus japonicus

はい、チビゲンです。2mmぐらいです。その辺の水たまりにも田んぼにもどこにでも、あなたの身に寄り添うぐらい身近なゲンゴロウです。南西諸島には個体差にもよりますが似ている別種のアマミチビゲンゴロウが広く分布します!!どっちも超かわいいですよ。

で、写真ですが、過去撮った方と比較してみましょう。下が過去に撮ったやつです。

過去のやつ。これもチビゲンです。

な ん だ こ れ 。
見てられませんね。こうやって見るといくぶんか最近のはマシなように見えます。
これが上達に関係あるのかすらわからないんですけどどうも小型種は水位を限界まで浅くすると写りが良いような気が…します。(撮影条件はほとんど変えている意識はないです。)信用できねえ
なんで水位を低くしたかいうと、こやつら撮影している皿内での息継ぎの角度が急(垂直に近い)で、その角度で静止することが多く、どうも頭までしっかり写すことが困難だったので、「なら水位をぎりぎりまで低くすればいいじゃん」っていう思考からなんですよね。
果たしてこれが虫の姿勢以外、撮影自体にも良い影響を与えているのかは…前述の通りイマイチわかりません。


というかここまで話してきてなんですけど、この二枚、被写体の写り方の大きさが違いますね…どちらもトリミングしていますが、一枚目はもっとトリミングしたら二枚目みたいなことになるのでは…?

僕は鍛錬してうまくなったのではなく
ごまかし方がうまくなったのかもれません。
というわけでごまかし方も大事かもという記事でした。

なんなの。この記事は。どういうコンセプトなんだよ。わかんねえよ。書いてるこっちもわからねえよもう。誰か助けてくれ。
ある意味斬新

2020年7月17日金曜日

海再び。

先日、微妙ではあったものの、まあまたウミアメンボ流れてきてるんじゃね?と思って海に行ってきたんですが、どうやら予報より海が荒れていなかったようで、採れたウミアメンボはただ一匹のみでしたありがとうございました。
まあ、そんな一匹がなんとありがたいことにセンタだったんですけどね。生きていたので撮影もできました。

センタウミアメンボ Halobates germanus

はい、もう先日の三桁漂着のお陰であまり有難みを感じなくなってきていますが、センタの生きている写真だってすごいはずなのです。ハズです…

上から。脛節の長さが際立っております。

外洋性ウミアメンボ三種の見分けについてはこちら。 巧妙な誘導

というわけでウミアメンボに関しては微妙もいいところだったんですけど、「海に来た甲斐あったわ。」っていうゲンゴロウが一種採れましたので紹介しますね。

チャイロチビゲンゴロウ Allodessus megacephalus

かわいいいいいいいい!!!!
かわいいでしょ?かわいいよねええ!!

3mmほどの小さなゲンゴロウです。タイドプールや海岸近くの水たまりなどで主に見られる、ちょっと変わった種です。今回も海岸近くの水がたまったところで得られました。びしてもなんで僕はその現地にいる時の写真を撮っていないんでしょうか。気づいたときにはタッパーに捕獲しています。白バックだけというのもあれですから現地での様子も撮りたいんですけど…うっ…手の制御が…効かない!!
個人的にはあまり縁がないゲンゴロウで、なんか久々見ました。(昔見たときはまだ水昆の事なにも知らなかったので、磯遊び中に「おーなんか虫いるわ~」というような記憶が微かにある程度ですが、今考えたらこいつな気がします。)

もう少しアップ。

いやあ…お洒落ですよね。ほんとにカワイイ。
あ、名前にチビゲンゴロウとありますが、チビゲンゴロウ属ではなくチャイロチビゲンゴロウ属です。(この仲間は日本では本種のみ)
北海道からは記録されていないようです。

ほおおおおおおおおおお

お洒落なゲンゴロウなのでお洒落(風)な写真。
構図とかよくわからないですがなんとなく好きです。

と、いうわけでチャイロチビをメインに紹介しました。
もうありとあらゆる水場に水生昆虫はいるので知ってれば知っているほど水がある場所をのぞき込みたくなってしまいます。病気
でも水たまりがあれば楽しめるので幸せですね。

オマケ:アマちゃん。


視線の先が気になる。


2020年7月13日月曜日

半翅運


貴重な梅雨の晴れ間ということでくっっそ暑いなか、ちょっくら採集に行ってきました。ほんとは水生甲虫で見たいのが居たのですが全体的に甲虫の出が悪く(採集が下手ともいう)残念な結果に。でもここ最近の水生半翅の運はまだ続いていおりました。昼過ぎとかもうずーーっと頭がぼーーっとしてましたがなんとか採ってきました。熱中症じゃねえの?
それでは今日採れて嬉しかった半翅行ってみよーー!!

ムモンミズカメムシ Mesovelia miyamotoi ???

いきなり誰これ案件です。メスですね…
数ミリのミズカメムシの仲間です。岸際を掬ったら入りました。

う~ん突起はないのでムモンとしましたが…

一応ムモンの記録はバンバンあるエリアなんですけどね。
ただミズカメムシに関する知見が皆無なので、正直よくわかりません。助けて有識者~~
個人的にもう少し知見がある虫に移行しましょう。

まずは、先日別記事でも紹介した、

ハネナシアメンボ  Gerris nepalensis

はい、ハネナシアメンボです。大きくても1cmぐらいのアメンボですが、筋肉質というかマッチョなように見えます。

上から見るとわかりやすいかな?

なんというか、横幅がすごいですよね。顔も小さく見える気がします。
そんなハネナシアメンボはヒシやアサザといった浮葉植物が水面を覆いつくしちゃってて水面見えませんけど。みたいな水場でよく見られます。そういう池とか沼があったらこのアメンボがいないか探してみてくださいね。
ハネナシアメンボは写真の個体もそうですが、名前の通り基本的には翅が無い無翅型と呼ばれるタイプが多いのです。が、ちょくちょく翅のある長翅型と呼ばれるタイプが出現します。ハネナシじゃねえじゃん!!とか言ってはいけません。ハネナシアメンボではあるのです。れも先日の記事で触れましたね。昔この事実を知った時にめちゃくちゃ笑った記憶がある。
その長翅型、僕も写真見返して気付いたんですが、先日の鳥見記事にネクイハムシの類の画像を載せたじゃないですか。あれにしれっと写ってました。

ハネナシアメンボ長翅型(矢印)

ハネナシの長翅型、もう別種にしか見えませんが、慣れてくれば分かります。なんというか背面の色がマットに黒っぽく塗られている感じで、腹面の白とのコントラストが大変かっちょいいのです。無翅型とはまた違った魅力があります。いやーほんとに、かっこいいんですよぉ…ドュフフ…

それではもう一種アメンボいきましょう。

ババアメンボ Gerris babai

か、かわええええええ!
実はこの種、アメンボをじっくり見るようになってからというもの、憧れの種でした。ハネナシと同じくヒメアメンボ属の一種なのですが、ハネナシよりさらに小さい種です。この小ささが絶妙で、非常にカワイイ。抽水植物が多く生える水場に生息しますが、場所は限られるようですし、減少中です。準絶滅危惧種(NT)だったりします。
水生甲虫を狙っていたら網に入ったんですが、入ったとたんになぜか和名ではなく学名を連呼していました。奇行。
このババアメンボも、翅の短いタイプもいますし、長いタイプもいるのです。

角度違いのかわいいババアメンボ

この個体は翅が短いですね。ただ一個体のみ長翅型が採れたのですが、残念ながら輸送中に死んでしまいました。生きての撮影は出来ず…本種の幼虫らしきちっさいのもいっぱいいましたので、また時期を変えて覗きに行きたいところ。

ババアメンボ長翅型

こちらがその長翅型。この写真でも若干わかるのですが、光の当たり方によっては翅が青く輝き大変素敵です。この青さは虜になってしまうやつです。沼にいたときもめちゃくちゃ光っておりました。カメラを持って行かなかったのが悔やまれます。なにやってんだよ。

ババアメンボ、翅が短いタイプであればそこまで同属の他種と混同することはないかなと思いますが、長翅型はやはり各地に普通のヒメアメンボと似ています。ヒメアメンボを日頃からよく見ている方なら問題なくわかるのかなーという感じですかね。それでも迷うことはあると思いますので、そういう方はオスの腹部を見ましょう。

腹部第七節に注目

腹部第七節の後縁が逆U字状にへこんでいますね。∩←こうなってるとこのことですよ!!
これがババの特徴のようです。
比較写真がなくて申し訳ないんですが、個人的にはヒメアメンボとは背中側、頭を上においた際に真上から見るとヒメアメンボよりも縦が短く感じます。(ヒメより小さいから当たり前なんですけど)正直ここはいかにヒメをじっくり見ているかなのかな?とは思いました。ヒメの方が見かける機会は多いでしょうし、いざババが浮いていた際に違和感に気づけるかどうかでしょうか。と、素人が偉そうに語っております。

というわけで特にアメンボ二種についてじっくり話しました。ひとくちにアメンボと言ってもいろんな種類がいるわけです。あ、アメンボだ!!で終わりにすることもできますが、「あれは○○アメンボだ!!」って分かれば、世界は少し違って見えると思います。逆もできます。例えば「ヒシまみれだからここはハネナシがいそうだ!!」とかですね。どんな生き物でもそうですが、少し名前を知っているだけで世界の解像度が大幅に違うと思われます。僕もつい最近アメンボをしっかり見るようになりましたが、アメンボの種類を知っているだけで、その場から得られる情報量が違うのです。楽しいですよ。
あなたの身近にいるアメンボは果たして何アメンボでしょうか…?

2020年7月7日火曜日

最も海洋に適応した昆虫

各地で豪雨災害が猛威を振るっておりますね。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。一日でも早い復興を祈っております。まだここから数日は油断できないようですし命を守る最善の行動を心掛けてくださいね。当ブログ中の人は関東ですが油断は禁物だと思っています。

さて、本題に入りましょう。
地球上で繁栄しまくっている昆虫。その昆虫たちでも苦手とする環境として、海洋があります。しかーーし!!しかしですよ。なんと海洋にも適応した昆虫がいるのです。

その名もウミアメンボ。
皆さんご存知のあの田圃から公園の池、果ては水たまりまで、どこでも目にする最も身近な水生昆虫であるあのアメンボの仲間です。そのなかに海洋に進出したグループがあるのです。

そのウミアメンボ属は日本から五種記録されています。
  1. ウミアメンボ
  2. シロウミアメンボ
  3. ツヤウミアメンボ
  4. コガタウミアメンボ
  5. センタウミアメンボ
↑がその五種です。
全ての種が塩分のある水域で生活しますが、この属には沿岸性種と外洋性種にわけることができます。
沿岸性種は名の通り、波がほとんどないような海岸や漁港などで生活する種のことで、本属ではウミアメンボとシロウミアメンボの二種が該当します。(このウミアメンボ属以外にもシオアメンボやケシウミアメンボなど塩分がある水域に生息する水生昆虫はちらほらいたりします。)こちらは前述の通り場所によっては普通に岸から採集することが可能です。
問題は外洋性の種なのです。ツヤウミアメンボ、コガタウミアメンボ、センタウミアメンボの三種が該当し、これらの種は普段はこちらも字面の通り、外洋(遠洋)で生活しています。大海原の上で生活しているのです。(おそらく漂流物の近辺で生活している?)体表面の構造も波にもまれて海没しても耐えられたり、紫外線にも強いものになっています。また脚部の遊泳毛も凄く発達しています。
多分読者の皆様はあまりイメージできていないと思われますが大丈夫です。僕もよくわかりません。
そのため、普段は人の目に触れることがなく、正攻法で採集を試みる場合は漁師さん方の船に乗っけてもらって上からネットでどうにかするか、自分で船舶免許取って船出して採るという難易度が高いとかそういうレベルではない話になってきてしまいます。前者に至ってはもう交渉術のレベルがモノをいう。
しかしそんな外洋性のウミアメンボは、海流に逆らう能力は持ちあわせていません。つまり、台風等で海が大荒れになった際に条件さえ整えば海岸に漂着することがあるのです。

今回当ブログ中の人はそんな外洋性のウミアメンボの採集に成功いたしましたので、こちらで紹介させていただきます。
※なおここから採集日当日のダイジェストは当時のテンションでお送りします。多数の同じ文字が羅列しうるさいので嫌な人は見ない方がいいと思います。

去る7/1、風速とかが見られるアプリとにらめっこしながら、同じ県内でかつウミアメンボが漂着しそうな風向きドンピシャの海岸近くに住む友人に「多分○○海岸にウミアメンボ来てると思う!!」と突然連絡。風は翌日7/2にも吹き続けました。そして散歩みたいなテンションでその海岸に向かったその友人はなんと見つけてしまったのです。ウミアメンボを予言的中。ここは我ながらガッツポーズ。
写真が送られてきたので発狂。その日の夕方は落ち着かず部屋の中をぐるぐる回る奇行に走っていました。残念ながら僕の居住地は思い付きで行けるほど海に近くはなかったのでその日は我慢し、翌日朝イチにもう一名の友人とその海岸に向かうことに。打ち上げられたウミアメンボは時間がたつと死んでしまい、海岸にいる生き物に食べられてしまったり、場合によっては砂に埋もれたり飛ばされてしまったりするので、スピード勝負となります。死骸の一つ二つでも見られればいいやと思い寝ようとしますが、寝れません。興奮して寝られません。遠足前の幼稚園児
結局ほとんど寝られずに7/3の朝を迎え、7:30ごろには現地に到着。少し風は弱くはなったものの晩までそれなりの風が吹いていたようで、期待が高まります。

ツイタ。

捜索開始。目の前の流木の下をチェック。

青い点みたいなの。

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああちょっと待って!!!いる!!いるじゃん!!!!!!いる!!いるいるいる!!!

まじか!!しかもめっちゃいるぞ!!!

うおおおおおおおおおおお生きてるうううう

すげええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええこいつ生きてるううううううう
なんか種類違うんかな??ってやつもいるわ!!よくわからんけどもって帰るべ!!

と、二時間以上ひたすらウミアメンボを探し倒し、三桁収集。漂着物の近所は勿論、サーファーの皆さんが作った足跡などといったくぼみにもまとめて落ちていたりしました。なお打ちあがったウミアメンボに関しては全滅してしまう運命なので、採集圧も基本的に気にする必要がございません。ただヒメスナホリムシ?ハマトビムシ?なんかそのあたりの方々(全然詳しくなくてごめんなさい。)たちのエサにはなっていそうなので、死んでいて欠損がヒドイ個体については浜に残してきました。

結果。
結果その②

これでも全ては並んでおりません。約140個体ほど採集いたしました。
分かる方にはわかると思うんですが、この写真を撮った際、あれ、これ三種採れてね?と薄々勘付いておりました。(各種の紹介はあとで)
そしてなんと、一部の個体は生きたまま持ち帰ることができ、白バックまで撮れてしまったのです。それがこちら。

コガタウミアメンボ Halobates sericeus
こちらは♀

おなじくコガタの♂

青イイイイイイイイイぃぃぃぃぃぃいっぃぃっ!!!
我が目の前で、憧れの外洋性ウミアメンボが泳いでいるっ!!!こんなことがあっていいのか!!夢じゃないのか!!夢じゃねえ!!っしゃああああああああああ!!

残念ながら生きている時間は短く、帰宅したのちこの半日後には死んでしまいましたが、一時ではあれ夢のような時間を過ごすことができました。ありがとうコガタ君。(この青色は死んでしまうと灰色に変化してしまします。

さて、ここからは採集された各種の写真です。結論から言いますと、日本から記録がある三種の外洋性ウミアメンボを全て採集できていました。コガタ以外は生きているのこそ撮れませんでしたが、三種を採集できたという事実はホントにラッキーだったと思います。
まずは、三種のサイズ感を見ていきましょう。

左から、ツヤ、センタ、コガタです。

いずれも♀です。ツヤウミアメンボが大きいですね。ツヤは日本産外洋性ウミアメンボでは最大の種です。ツヤの大きさは勿論ですが、センタとコガタの脚の長さの差もわかりますね。中脚の脛節の長さが腿節の二分の一を明らかに超えるのがセンタで、他二種は二分の一をこえません。
各種アップで見ていきましょう。(個人的な同定ポイントを画像に載せています。)

ツヤウミアメンボ Halobates micans

でけえええ!!かっけえええええ!!!
ツヤウミは名の通り前脚の青いツヤがたまりません。全体的にゴツイいイメージです。
今回は極端に数が少なく♀1個体のみ採集できました。

センタウミアメンボ Halobates germanus

脚長いですね~~!!!ご覧の通り、脛節が長いです。
ツヤとコガタの中間ぐらいのサイズで、大変スタイルの良い印象をうけます。
今回は♂1匹♀1匹のみ採集できました。

コガタウミアメンボ Halobates sericeus

サイズ感がかわいい!!センタと比べると脚が短いですね。
今回最も数が多く採集でき、130匹以上がこのコガタでした。(コガタの幼虫と思われる個体含む)
以上紹介でした。

というわけでまさかまさかの3種コンプ。こやつらは存在を知ってからというもの、死ぬまでには採りたいと思っていましたが、20年ちょっと生きただけで達成してしまいました。大丈夫なんでしょうか。ま、まだ採りたい、見たい生き物が沢山いますので死ねませんが。
条件さえよければ日本全国(?)誰でも外洋性ウミアメンボは採集可能です。風や波とにらめっこしながら、ここだ!!という海岸に向かえば、もしかすると…あるかもしれません。当日同行して頂いたお二人、ありがとうございました。


本記事の参考文献:中島淳,林成多,石田和男,北野忠,吉富博之 「ネイチャーガイド 日本の水生昆虫」2020年(文一総合出版)