2021年12月26日日曜日

修行

 先週、ダンゴウオを記事にしました。その際にまた来週とある虫を紹介しますわみたいなこと書いたのでそいつの記事です。


クロコブセスジダルマガムシ
Ochthebius granulosus 

その虫はこちら。クロコブ君。関東東海の海辺、岩礁域に生息します。もともと先週はダンゴウオメインだったので、こちらは深夜で真っ暗だったし、採り方もいまいちわかっていなかったのでダメ元で探してたんですが、同行者が開始十五分ぐらいでみつけちゃったので、途中からダンゴウオそっちのけでこのクロコブを探していました。んでこいつ、なんとなく生体白バックの解像感から小さそうな気はしますが、案の定1ミリ台の体長です。


スケールバーは1.0 mm

せっかくなのでしっかり撮りました。体表面に塩(?)がついていますね。
にしてもちっせえんじゃ。ちっせえの。んで基本的にまあ動いていないし、岩としっかり同化する色だしで、見つけるのはまあ難しかったです。しかももいる場所が、潮上帯なんだけど適度に湿っていて、藻類がちらほら生えてるオーバーハングした岩の隙間とかいう限定的な場所すぎて気が狂うかと思いました。もとから狂っているとかいうな



よって採集時はこんな体勢でやってました。膝がいてえ。ただでさえ虫採りが下手、さらにダルマガムシに至っては全然詳しくないので、ほんとに厳しかったです。これを最初に見つけた同行者は天才だと思います。変態です
んで昨日、明るいうちにやりたいなと思って、別の産地で探してきたんですが、先週とは別の同行者が二匹ゲット。環境はやはりある程度湿っている岩盤にできた溝で、これも岩盤に人間が張り付いて昼間からヘッドライトで溝を照らして採集するというどう考えても不審者な絵面で採集しました。普通に海に遊びに来ていた一般の方から我々を見て、「何?地質?」や「え、コワ…」という声が聞こえてきていました。まあ無理もないかと思いますね。冬でも探せば採れるこの虫…修行にいかがでしょうか。僕もホントに自分の採集のヘタクソさを実感する虫でした。精進します。

2021年12月20日月曜日

3年ぶり

 


三年ぶりに真夜中の磯に飛び込んでダンゴウオ観察をしてきました。僕は途中から某虫探しに夢中になってしまったため同行者の皆さんが掬った個体を撮らせてもらいました。合計だと5だか6だか採れてたのかな?その僕が探すのに熱中してしまった某虫に関しては来週詳しく書こうと思います。とりあえず今回はダンゴウオ白バックを載せるだけの手抜き記事にします。なお今回採集した個体はリリースしています。

赤系


茶色系


黄緑系


ベージュ系


深緑系

全員かわいいな…なんだこの生き物…
最後にお気に入りの一枚を。

どこ見てるの…?

んんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
ちょっと口開いてるのがたまらねえんですわ。寒い中みんなで磯を徘徊して正解だったかもしれません(僕採ってないけどダンゴウオ)

2021年12月12日日曜日

全部おんなじ…じゃない!

 琉球の浅い植物わっしゃわしゃな湿地で採れる黒いガムシ三種を並べたいという欲に負けて作りました。どんな欲だよ。


ヒメタマガムシのみ別属です。(ヒメタマはヒメタマガムシ属で、他二種はチビマルガムシ属です。)サイズ感はだいたいこんな感じ?って作っています。つまりミナミチビマルが一番小さいです。ヒメタマ、ミナミチビマルともに数年前に初めて国内から記録されたばかりです。全員カワイイのが最高です。ヒメタマガムシはタマガムシって名前についているのであの泳ぎをするのかとか勝手に思っていましたが、全然そんなことはありませんでした。いずれも冒頭で述べた通り水草の多い浅い湿地から得られるようです。与那国ではヒメタマとミナミチビマルが同所的に得られていますし、なんなら3種まとめて採れるところもありそうです。

この三種、ちょっとまたヒメタマの腹部の毛とかチビマルとミナミチビマルの交尾器の写真とか点刻とかの良さげな画像が撮れたらもう少し詳しく書きたいです。追記するかも。

2021年12月5日日曜日

最近のカタビロ飼育事情

 以前、この記事でカタビロの飼育についてにちょろちょろ書いたんですが、ここ最近は以下のようなセットでほとんどの種を飼っています。というかこの方法に移行中です。

奄美チャイロ飼育容器


以前より水位がかなり低くなっています。ティッシュを下に敷いて、びちゃびちゃになるまで濡らすだけです。この方法だと定期的に水気を補充するだけで、水換えという概念がなくなるので、メンテナンスも楽です。ティッシュがめちゃくちゃ汚れてきて気になるようだったらティッシュだけ交換すればいいですし。あと経験上、離島とから持って帰って来て疲れている連中は水位がありすぎると溺れて死んでしまうことが多々あったので(アマミオヨギとか全然うまくいかない)なんとなくこっちのほうが成績が良い気がします。
繁殖に関しては基本的には普通に産んでくれて普通に孵化する印象です。なんならイリオモテだの染み出し生息勢なんかはこっちのほうが自然に近いかもしれないですしね。
まだこちらも移行中なので何とも言えませんが、「このやり方だと産まねえ!!」とかってのがいたらお伝えします。というかいたら教えてください。有識者~

2021年11月27日土曜日

どうなっちゃうのこれ

 先日の八重山遠征記事で紹介したサンゴアメンボですが、そういえば撮影のためにしばらく活かしておいた際、なんと産卵しました。

成虫はこれですこれ改めてかっこいいね。

下が今日撮った卵です。うつっていないのも合わせて七個。ビックリ七個。産卵してから実はしばらくたっているんですが、発生進んでいるのかイマイチわかりません。なんとなく、ていうか本種の生息環境的に塩分は必要な気がしているので塩水にはしています。


ほんとにわからんので、まあサンゴ礁のものだし潮の満ち引きで完全に水没することもあるだろうと思い、今日は完全に水没させてみました。よく見ると卵の中に色が違う(濃い)部分があるような…?どうなっちゃうんでしょうこれ。誰もサンゴアメンボの繁殖なんてやったことなさそうですので、正解が全く分かりません。
気になります。ワタシ。繁殖やってる人いたらコワいレベル

2021年11月21日日曜日

越冬チャレンジ?

 昨年記事にした気がするのですが、なんと今年も昨年と全く同じ場所でアカギカメムシが発生しています。まさか前回の冬を越していたんでしょうか?

というわけで昨日また見てきました。本格的な冬を前にアカギさんたちはどうしているんでしょうか。

お、いるいる。

普通に落ちていないアカメガシワの葉にいる

擬木上の幼虫(終齢?)

あるくあるく

昨日は割と暖かったからなのか歩いている個体もちらほら。

羽化不全

化け物みたいなルックスのやついると思ったら羽化不全のようです。今後生きていけるんでしょうか。

集まってるなぁ

これはもう南西諸島じゃん
これ、ほんとにどうなるんでしょう。今年の冬がどれだけ寒いのかにもよりそうです。要継続観察。

2021年11月15日月曜日

発狂の晩秋八重山 与那国編

 石垣編の続きです。石垣編はこちら

与那国編

2021 11/2 
石垣を出発です。朝10時のフェリーに乗って与那国へ向かいます。
このフェリーは通称ゲロ船。どうも条件が悪いとめちゃくちゃ揺れるとか。まあ僕は三半規管つよつよボーイで乗り物酔いという概念を知りませんので、何ら問題ないんですけどね。
ドタバタしつつも船に乗り込み完了。携帯を見ると、不在着信が。見覚えはない番号だったので調べてみたら、どうも今回の与那国でお世話になる宿、ゲストハウスFiestaからの模様。かけなおそう。おっ、つながった。

ボク「あ、もしもし~すいません先ほどお電話いただいていた○○ですけども~」
宿のオーナーさん「あ、○○さん、今日あれだよね。レンタカー借りて自分たちでうちまできますよね?迎えはいらないよね。」
ボク「あ、はいそうですね。こちらから向かいます。」
オーナー「ごめん今日おれ夕方まで海にいてもしかしたらそちらが着くころにはいないかもしれない。真ん中の部屋空いてるから、荷物そこに置いておいて~」
ボク「あ、え、え、はい。わかりました~失礼いたします~」

もしかしてスゴイ宿に泊まろうとしてませんかこれ?不安と期待が入り混じりすぎていますが、とりあえず船は順調に航行。船と言えば航路での鳥見です。デッキに上がって西表島を眺めます。船で与那国までは四時間ちょっと。まだまだあと三時間以上あるな~と思っていたら、黒い鳥が船に急速接近。きたきたきたー!!

カツオドリ

そう、この航路では外洋に出るちょっと前ぐらいから尋常ではない近さでカツオドリたちが飛ぶのです。今回与那国へのアクセスを飛行機でなくフェリーにしたのはこれが見たかったから。(安いのもありますが。)カツオドリたちは船に驚いて飛んだトビウオたちを狙うために船の真横を飛ぶのです。トビウオからしてみたらたまったもんじゃねえ。

ちかいちかいちかい

写真に関して、こいつなに望遠のレンズ買ったのか?と思われるかたいらっしゃるかと思いますが、望遠は買ってません。つまりこれはいつも虫を撮っている100mmマクロで全て撮影しています。狂気を感じます。

しばらくするとどんどん増えてくるカツオドリたち。
ん?なんか遠くから白っぽくて少し大きいの来てない?

こんなん鳥肌ものですわ

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおこやつは!!!

アオツラカツオドリ

アオツラだあああああああああああああああああああ!!!
すげえええええ!!!
すごいすごすぎる。かっこよすぎる。なんじゃこれ。あんまり船に近づいてはくれなかったけども十分堪能しました。最後はトビウオをキャッチできたらしく、船からは離脱していきました。

その約30分後…。なんか晴れてきたなあ。


あれあれあれあれあれちょっと待っってアカアシカツオドリ混じってるじゃんかよ!!!

アカアシカツオドリ

おっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおアカアシだああああああああ
しかもこの個体はかなり船の近くを飛んでくれる!!じっくり約20分ぐらい見ることができました。最高か?最高か与那国航路。

しかしこれでもまだ終わらない!!

アオツラ二羽目入りまああああああす

この個体もをめちゃくちゃ近くを飛んでくれたわけではなかったものの、十分贅沢をさせていただきましたありがとございました。そうして感傷に浸っていたら、徐々に渡難の島、与那国島が見えてきました。すごい断崖絶壁なんだなあ。最後までついてきたカツオドリたちを眺めながら、港へ到着。与那国の地を踏みます。レンタカーを借りて、いざ宿へ。

こんにちは~~~
※写真は帰り際に撮ったやつ。

誰もいねえ…そうか、オーナーの人海行ってるんじゃん…電話で言われた通り、おそらくこれが真ん中の部屋なんだろうというところに荷物を置いておく。宿の中を見て回ったり、宿の近くをとりあえず散歩してみた。部屋のなかには「エアコン、1h75えんぐらい」と書いてある小箱が置かれていて、「ぐらい!?」ってなりました。最高です。これは最高を引いている可能性が高いです。数十分後、オーナーの方が帰って来たので挨拶。宜しくお願いします。宿泊費を払って(激安)、色々説明してもらいました。他の宿泊客の人たちも帰ってきて、しばし談笑。
別の宿泊客の人「与那国にはなにしに来たんですか?」
ぼくたち「む、むしとりです!!」
宿泊者「え?虫を採る為だけに与那国に!?」
ぼくたち「はい!!」
宿泊者「え、ちなみにどんな虫を?」
ゴキブリ屋「ゴキブリです。」
ボク「水生昆虫です」
各々続く。ゴキ屋はルリゴキの写真を見せて布教し始めた。うまい。布教がうまい。
オーナーの方が「前、水生昆虫やってたやつ泊りにきたな~。ゲンゴロウ君って呼んでた。もうだいぶ前の話だけどさ。」とおっしゃっていた。
諸々話していたら興味を持ってもらえたらしく、「明日の夜とかにでも是非採れた虫見してください」と言ってもらえた。

夕暮れ時、折角与那国なんだから、とりあえず西崎にいって最西端でも拝もうやということになりました。と、その前に与那国ならではのテキサスゲートを視察。話に聞いていたんですが、どうもこのテキサスゲート、水が溜まっているタイミングだと水昆がちらほら採れるらしいのです。んでその話を聞いていた先輩から、「結構深いから、落ちないように気をつけてね」と言われていました。その話を思い出したので絶対落ちんわと長靴をはかずに水面にいたカタビロアメンボを撮影。いいねいいね~。

テキサスゲート。
与那国馬を牧場の外に出さないためのものらしい。

カタビロを撮影していると同じくテキサスゲートをのぞき込んでいたゴキ屋が
ゴキ屋「お、なんかマツモムシみたいなのいるよ~」と教えてくれました。
振り向いてそちらに向かおうとした瞬間、一瞬の気のゆるみが。
じゃぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああやっちまったああああああああああ右足溝におちたああああああああああああああ!!ズボンもひざ下ぐらいまでぐちょぐちょ。冷静を装いながらマツモムシを見に行く。掬ってみるとコマツモムシ属の幼虫でした。幼虫は分からないからリリース。それよりこの右足ですよ。幸い近くに浜があり、足の洗えるタイプの水道があったのでそこの超高水圧蛇口でめちゃくちゃ洗いました。びちゃびちゃで気持ち悪いけど。まあまあ。帰ってきたら網を預けていたゴキ屋が「なんかゲンゴロウ採れた。」というので見てみたらコケシゲンゴロウでした。ナイス。ぐちょぐちょだったズボンは海風で早々に乾きました。気を取り戻せてはいないんですけど西崎へ。

コケシゲンゴロウ
かわいいいいいい


最西端の碑

実際の最西端は西崎のちょこっと先にあるトゥイシという岩らしいです。

日本で最後に沈む夕日…
雲!!雲が邪魔!!まあこれはこれでカッコよいか。

夕飯はカジキの漬け丼を食べて(メチャウマ)ゴキ屋のサンプル収集のために山へ。

アオミオカタニシ

アミメヒラタゴキブリ
超美麗種。

ゴキ屋、多足屋ともにサンプルは確保できた模様。よかったよかった。
割と早めに切り上げて、少し灯りを巡ることに。カマキリがいないか探す。とある自販機でカマキリ屋下車。「ヤモリばっかだな~」と言っていた矢先「にゃ~~ん」という声が。声の方向を見てみると口に何か咥えたネコが。

多足屋「え、あれ咥えてんのカマキリじゃね?」
ゴキ屋「やべえ、。カマキリくせぇ。」
ぼく「まじ?そんなことある?」
カマキリ屋「は?あれマエモンカマキリだろ!!ネコオオオオオオ!」

ネコはやはりいろいろな生き物食ってますわ。見てしまった。ネコは室内で飼おう!!!これは与那国で気になったことなんですが、外にいるネコの数が非常に多かったです。ちょっとあれは多すぎです。問題ですよ。(獣医師が島にいないパターンなのかな…?と思ったり)

ショックを受けたカマキリ屋がヤサガタコカマキリが飛んでこないかと草地の近くでライトをしだしました。が、この日もまあ風が強い。ダメ元でやってみたものの全然だめでした。バッタ類がちらほら飛んでくるぐらい。ちぇっ。

宿に帰ってきたらまだ宿泊者どうしで談笑してました。某国立大で地質の研究をしていて調査にきた方がいらしていて、沢とか水昆によさげな場所の話とかを聞き出すことができました。

11/3

昨日落ちた靴は乾ききっていないけど出撃。今日はとりあえず以前に与那国にきたことがある多足屋とゴキ屋の知っている沢を案内してもらいました。
ついてみると、沢…なんでしょうけど、一部一部に水が溜まっていて、流れてはいない感じ。まあでもとりあえず見ていきましょうや。
って、あ!!!!!デカいアメンボいる!!!こいつは!!!

トゲアシアメンボ

トゲアシだああああああああああああああああああああああああああああ!!!かっちょいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!国内では与那国島にのみ分布し、なおかつ本種の分布北限になっています。オスのほうが遥かにメスより大きく、オオアメンボについで大きなアメンボです。なんといってもその鮮やかなカラーリングが最高すぎて、語彙力が低下していきます。

オス。たまんね~~~

沢には落ち葉がたまった浅いエリアがあったので、そこの岸辺にある石をひっくり返してみたら…なにかが浮いてきました。え!!ちょっと待って!!これ!!この金色の虫は!!

ヨナグニスジヒラタガムシ

よ、よ、ヨナグニスジヒラタ!!!!まじすか!!こんなに簡単に採れていいんですか!!!与那国島の固有種!!なんちゅう美しさじゃあ…
んで一緒にダルマガムシが二個体浮いてきたので確保。誰だろうねぇ。(また今度同定します。)

この調子で浅い落ち葉がたまったエリアの縁を凝視していくと…
おおおおおお!!?なんかちっさいタイコウチいるぞ!!

エサキタイコウチ

だあああああああああああああああああエサキタイコウチだああああああああああああああああああああああああ!!ちっせえええええええ!!想像よりだいぶちっせえ!!こんなに小さいんだ!!

サイズ感つたわれ

キュートすぎる!!!!こんなの萌え死んでしまう!!しかもなんか割といっぱいいる!!本種もトゲアシアメンボと同じく国内の分布が与那国のみかつ北限です。あああああ。
えええええええええええなんだこの島。やばいな。トゲアシからエサキタイコウチまで十分かかってないぞ…すげえすげえ。ちなみにこれを見つけた瞬間の「いたあああああああああああああ」という叫びを聞いたゴキ屋が動画を回していましたが、そこには非常に饒舌にしゃべるヲタクが写っていました。こわい。

とりあえずトゲアシアメンボの野外写真を採って、山に入っていったゴキ屋多足屋と合流。なんかもう満足感がすごい。とりあえず昼なのでおいしい八重山そばを食べてここからは水昆組と山籠り組で別行動。

わかなそば

カマキリ屋も水昆採るらしい。いいね。山籠もり組をポイントに置いて、事前に教えて頂いた沢へ。しかしここも流れていない!!水はあるにはあるんですけど、流れがほとんどないんです。トゲアシアメンボはかなりいましたが、軽く忘れかけていた本来の目的であるサンプル虫は採れず、イリオモテケシカタビロアメンボがちらほら採れました。今回はイリオモテと相性が良いらしいです。

この後も沢に向かってみるものの、ごくわずかに水があるだけだったり、からっからになっていたりでダメでした。ここで山籠もり組と合流。もう一か所だけ心当たりのある沢があるというので、行ってみることに。

到着。おおおお!規模は小さいながらここはしっかり水がある!!下の方は沢というより流れの緩やかな水路みたいな感じ。少し上に行くと岩がゴロゴロとした小さな沢でした。これはサンプル採れそうな匂いが。とりあえず水路っぽくなっているところをガサガサすると、見慣れないアメンボが。お!!これは!!ホソミセスジアメンボ!!初見です!!やった!!

ホソミセスジアメンボ

かっこいいぜ。薄暗い水場が好きな種類のようです。
続けて少し沢の上流部の淀みを見ると、サンプル虫と一緒にトゲアシアメンボ。よしよし。これで無事本来の目的は最低限達成。ここからはまだ見ぬ水昆を探すのじゃ。

そうこうしてたら夕方になってしまったのでいったん宿へ帰還。昨日採れた虫是非見せてください!と言ってくださった方に本日の成果品を見せることに。

ボク「これ!イリオモテケシカタビロアメンボです!!」
宿泊客「え?どれですか?この動いている点?(困惑)」
ボク「すいません小さすぎました。じゃあこっちのトゲアシアメンボで。」
宿泊客「で、でか…。ま、まあでもカッコイイかも。」

えー成功したかどうかは置いておいて布教しました。

夜の部いくぞ、と思ったらしっかり雨が。ぐえええええええええ。大人しく採った虫の整理して他の宿泊客の人とおしゃべりして終了。

11/4 

とりあえず昨日地質屋さんに教えていただいた沢へ。道から外れて少し下ると沢発見!!大きな水たまりもあるし、少し下ると流れもある!!大きな水たまりにはトゲアシアメンボと…ん…なんか…なんか大きいメタリックの虫が浮いておるぞ…!!近づいてくるのを待って網でサッと確保!!

タイワンオオミズスマシ

たぁぁあああああいわんおおみずすましだあああああああああああああああああああああああああああああああデカい!!デカすぎる!!なんじゃこれ!!なんか脳がバグるデカさだぞこれ!!本州だと大きくてもオオミズスマシどまり。その倍はあろうかというサイズ感!!化け物じゃ…化け物がこの島にはおるぞ…
ちなみに沖縄本島などには亜種オキナワオオミズスマシがいます。(あっちもあっちでめちゃでかいんですが、背面の隆起が弱いです。)

あまりの存在感に気が狂いそうになりながらも沢を下っていくと、似たような水溜まりがちらほらあって、そのどこにもトゲアシアメンボやタイワンオオミズスマシがいました。

おそらく本遠征ベストショット

んでこういう沢の淀みには見たいゲンゴロウがいるのです。
しかしなかなか採れない。んーどこにいるんやと思いつつ、浅い淀みを網でかき混ぜたら、ヨナグニスジヒラタガムシ。おおお。採れるなあ。その時その淀みを見つめていた多足屋が「なんか今ツブゲンみたいなのおったぞ。」と一言。まてまてまてそれじゃ。見たいのはそれじゃ。必死に掬います。うわ!ツブゲン来た!と思ったらウスチャツブ。なんでウスチャツブ!!好きだけど!!今君じゃない!諦めずもう一度網を入れたその時…ヤエヤマセスジゲンゴロウ!!これも目立ついい種!!そして!!

ナカジマツブゲンゴロウ

ぶわああああああああああああああああああああああああああああああああああきたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああナカジマツブきたあああああああああああああああああああ

与那国島特産!!キュートなルックス!!最高だあああああああ!!ああああ素晴らしい…なんて良い虫なのか。またしても大満足。

さらにこの先に下ると鍾乳洞みたいなのがあって、そこの岩盤は水がしみている!!もしかしてこれ…ヨナグニシジミガムシいないかな…と思って岩盤にライトをあてて凝視…しかし見つからない…これは厳しそう。ゴキ屋と多足屋はヤイトムシを採っていました。
ヨナグニシジミは悔やまれますが、十分な成果を得てこの沢は終了。いやーホントに教えていただいた地質屋の方には感謝です。

午後は少し草原へ。

腹ごしらえを済ませた後は某山の草地でカマキリ屋を置いて行き、我々はその山の林道を流しました。僕も友人へのお土産の蝶を採ろうと網を振りますが、いかんせん日が出ておらず気温も低めでなかなか飛んでません。スジグロカバマダラとか、リュウキュウアサギマダラとか、美麗普通種の皆さんをちらほら採って力尽きました。ダメだやはり陸上の虫は採集センスがない。いや水の虫もないんですけど。その山の展望台にいくと、多足屋がシュウダを発見!!こ、これがシュウダ!僕は近くに止めていた車に一眼を取りにダッシュで戻ります。息を切らしながら帰ってきて、「まだいる!?」って聞いたら「あ、やべ!動いた!」らしく、藪に消えて行きました。ちくしょおおおぉおおおおおおおおおお…まぁ姿を見られただけだもよしとするか…

ヨナグニシュウダ。かっこええええ
ゴキ屋撮影の写真をお借りしました。

カマキリ屋と合流。マエモンカマキリがたくさんいたらしいです。お目当てのヤサガタコカマキリは採れない模様。難しいねぇ。

別の草地でも探すものの、カマキリは微妙らしいです。ですが浅い湿地を発見。この後アヤミハビル館に行こうという話になっていたので、閉館時間に間に合わなくなる前にとりあえず館へGO。湿地は明日でもいいのだ。

アヤミハビル館到着。入館料をスタッフの方に払って見学。スタッフの方もこちらの風体を見て虫屋だと察したのか、めちゃくちゃ色々教えて頂きました。ゴキ屋はあらかた採りたいゴキブリは採り終えてしまったので「ノブオオオアオコメツキの幼虫が採りたいんですけど」と成虫は島のどのあたりに多いのか聞いていました。しかし成虫の情報は数多くあっても、幼虫を採ったという話はあまり聞かないそうです。(彼は遠征直前からノブオの幼虫を飼ってみたいとずっと言っていました。)僕はというと、採れた水昆とその場所の情報をアヤミハビル館側に提供。お話を聞いていると、どうやら今年の夏はそうとう雨がすくなかったようで、「水昆大丈夫かこれ」と焦っていたそうです。ここ最近になってようやくまとまって雨が降り出して、沢にも水が戻ったとのこと。なるほど各地の沢に水がなかったのはそういう事だったんですね。そして「敷地内の広場はライトとか焚いてもいいよ。虫来ないけど…」とのこと。んで「ノブオ、幼虫が採れたらまた来てね!!」と言っていただき、館を後にしました。

ノブオ幼虫をますます採りたいゴキ屋、教えて頂いた林道へ車を走らせます。

ヨナグニアカアシカタゾウムシ
センダングサをはじめとして至る所にいました

しかしノブオ幼虫、採れないらしいです。ここで日没…とりあえずいったん宿へ帰って夜の部へ。もはや宿でも虫部隊という認識になったようで、オーナーの方からも「この後もあれかい?もう一仕事あるのかい?」と送り出してくれるようになりました。

夜の部。せっかくライトやっていいよと言っていただいたので、やりに行くことに。しかしまたもや風が強い。なんだこれおかしくないか。もう毎晩風強いじゃん。
そこにちょうど帰宅される先ほどお会いしたアヤミハビル館のスタッフの方の車が。
車内から「ちょっと今日は風強いし、気温も低いしダメかもね~~~気を付けてやるんだよ~!!」と声をかけて頂きました。ライトは案の定撃沈。

駐車場わきの草むらにて多足屋が
「あ、ニューギニアヤリガタリクウズムシだ」と言い出しました。
ぼく「ほんとだ!ニューギニアヤリガタリクウズムシ!!」
多足屋「あ、ニューギニアヤリガタリクウズムシ、カタツムリ食ってんなあ!!」
ぼく「ほんまやこのニューギニアヤリガタリクウズムシ、カタツムリ食ってやがる!!
ぼく「ニューギニアヤリガタリクウズムシがカタツムリ食べてるところ撮影するか。」
ゴキ屋「だからなんだよその生き物。」
ぼく&多足「特定外来のニューギニアヤリガタリクウズムシだよ」

言いたいだけ。なにこの会話。皆さんも覚えてください。ニューギニアヤリガタリクウズムシ。特定外来です。

ニューギニアヤリガタリクウズムシ

カマキリ屋、草地をスイープ。ウスバカマキリがいたらしいです。

ウスバカマキリ

上品なカマキリ…なんて素敵なのかしら…


いやぁ…ほんとにうっとりしますね…

ふと木を見上げると、遠くの枝に青白くみえる物体が…な、なんだあれ…ていうかこの島であのサイズの物体…イモムシって…

なんかいる…

って近くにいるじゃぁぁぁぁぁぁんー!!!

うわあああああああああああああ


ヨナグニサンの幼虫だぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!でかい!!これまたわけわからんぐらいでかい!!存在感の塊ですよ!!改めてこの島やばいっす。

林道を突き進んでいくと地面にヤシガニが。カッコいい…相当久々に見た気がします。青の色が最高にイケてます。この日はヤシガニがあたりだったのか、一晩で4個体も見ることができました。いいねー!

ヤシガニさん


そんなこんなでこの日は終了。なかなか収穫ありました。

11/5

明日は朝イチで出発なのでフルで動ける最終日。午前中のうちにお借りしていたライトセットを郵便局で送りました。すこーし早めにだけど、昼を食べようということになり、久部良の漁協食堂でカジキそばを食べました。そばにカジキの身が入ってます。刺身もついてきました。めちゃうま。カジキの刺身なんかなかなか食べられるもんじゃないもんなー。

漁協食堂さんのカジキそば


ちょこっと海が見たいと言うことで比川浜へ。あいにく天気がめちゃくちゃ良いわけじゃないですが、それでも綺麗な海だなーー。近くにDr.コトー診療所の撮影セットがありました。ちなみにドラマの方は名前を聞いたことあるだけで、見たこともないしどんな話なのかもしれません。トゲアシアメンボとか出てくるドラマなんでしょう。(絶対違う)

Dr. コトー診療所せっと。

そのまま昨日ノブオ幼虫チャレンジで敗北した林道へゴキ屋がリベンジ採集へ。

しゃれたハエさん

このハエカッコよかったなぁ。

ゴキ屋は林内へ。我々は彼の実況を聞きながら、虫を探します。凄まじい執念。林道脇の落ち葉をどけていた多足屋がノブオの死骸を発見しました。死してなお輝いています。すごい色。
ノブオオオアオコメツキの亡骸

数十分経ったでしょうか…突然林内から「採れたぁあああああ!」と言う叫び声と共に山から出てくるゴキ屋が!す、すごい!巨大なコメツキ幼虫!これがノブオと言い切れはしないけど、状況証拠的にほぼほぼそうなんでしょう!!ゴキ屋が林から帰ってきた途端、一瞬太陽が顔を出し、オオゴマダラが二匹悠々と飛んでいました。
「ああ!オオゴマダラもオレを祝福してくれている!!」とゴキ屋。よかったよかった。

でっか…

そしてこのことを報告するため再びアヤミハビル館へ。スタッフの方に報告!良い報告ができましたね。んで館にはこの日の朝イチで羽化したというヨナグニサンが展示されていました!!ラッキー!

ぴっかぴかのヨナグニサン

「いやー昨日の子達(僕たちのこと)早く来ないかなーーと思ってたのよ!!」とスタッフの方談。ありがたいことです。バシバシ写真撮りました。ていうかオスでこのサイズってやばいな。またもや色々情報交換して、めちゃくちゃ礼を言ってアヤミハビル館を出ました。

さてここからは浅い湿地にいくんじゃ。全員巻き込み湿地じゃ!!到着。岸辺の踏むと水が出でくるような浅い一帯をガサガサ。おおお!ガッツリ虫が網に入る!!素晴らしい!無数のウスイロシマゲンゴロウとタイワンセスジゲンゴロウに混じって、トビイロゲンゴロウやマルケシゲンゴロウ属の一種(コマルケシ?)やシャープツブゲンゴロウ、ウスチャツブゲンゴロウ、チビコツブゲンゴロウ、ヒメタマガムシっぽいやつやミナミチビマルガムシっぽいやつなどが採れる採れる!!(ミナミチビマルガムシっぽいのは以前採ったチビマルガムシより少し小さい気がしました)カタビロは無印ケシカタビロとカスリケシ!モリモトケシを疑ったものの、これは環境的にもカスリくさい気がします。カマキリ屋が「なんかイトアメンボいるよ!」と声をあげたのでもしかしたらコブイト…と思い向かいましたがオキナワイトでした。まぁそうだわな。しかし小さいのがいっぱい採れるのはいいな…水昆屋ではない同行者も、「こんだけ網に入ったら楽しいわそりゃ」と言っていました。楽しいだろぉ?

ヒメタマガムシ?

コマルケシ?

どちらも近いうちに同定します。
小一時間ほど熱中して、湿地帯成分補充完了。
ここからはカマキリ屋執念のヤサガタコカマキリ探しが始まりました。
が、網を振れどヤサガタは入らないらしいです。マエモンは沢山いるんだけどなぁ。

気付いたらしっかり夕方に。もう一回最後に西崎へ行くもこの日も夕日は雲に阻まれて微妙…うーん…まぁでも我々の滞在時の昼間の予報は結構雨予報が多かったので、採集できただけでも幸運でしょう。



商店で夕飯を買って帰ると、オーナーの方から「あ、弁当買ってきちゃったかぁ〜」と一言。もしかして、と思ったら台所で捌かれている魚。
オーナー「夜も一仕事やんの?」
ぼくたち「やりますね!最終日ですし!」
オーナー「よしじゃあ刺身用意してやって」
ぼくたち「え、ええ!?いいんですか!ありがとうございます!!ありがとうございます…」
気付いたらなくなりかけていた刺身


その場で釣ってきた超新鮮なお刺身をいただきました。う、うめぇ…これまでの激闘に染み入る刺身…
やっぱり最高の宿ひいてました。
十全にエネルギーを補充して最終夜。といっても明日の出発に向けて荷物の整理とかしなきゃなので、夜遅くまでフィールドというわけにはいきません。とりあえずぼく以外は草地でスイープしていたので、僕はトゲアシアメンボの姿をもう一度見たいと近くの沢へ。足元ではエサキタイコウチが動いてます。川から視線を感じると思ったら、ヤエヤマイシガメがこっち見てました。

ヤエヤマイシガメさん
明るくしてごめんなさい

トゲアシ

スイープ組と合流。カマキリ自体は採れるけど、やはりヤサガタはとれないらしいです。そして今日に限って気温高め湿度高めでライトに良さげな雰囲気。今日の午前中に送っちゃったよ!!!くそおおおおお!

とりあえず林道を流すことに。ってなんだ…今のコウモリみたいなやつ…あぁぁぁあ!!ヨナグニサンだあ!!!!車のヘッドライトに照らされた超巨大な飛翔物体。残念ながらその後飛んでいったものは見つからず写真は撮れなかったものの、最終夜にして一瞬姿を拝むことができました。アヤミハビル館で聞いたところによるのこの時期はどうやら羽化した新成虫が多いらしいです。これもまたシュウダとともにリベンジ対象だなぁ!カマキリ屋もまだ粘っていますが、すでに鋼鉄四つ折りの網はボロボロ。んでついにタイムアップ。最後にちょこっと街灯巡りをして宿へ帰還。アシナガサシガメの仲間が採れたらしいです。カマキリ屋的にカマがついているものは集めたくなる性分らしいです。たしかにアシナガサシガメかっこいいよね。
自分たちの荷物を整理して、満点の星空を見た後に就寝…

11/6

与那国を発つ日が来てしまいました。レンタカーの返却もあるので、9時前には宿を出発…大変お世話になりました。ありがとうございましたゲストハウスfiesta。色々刺激的な宿でした。

9時半前には船に乗りこみ、出港を待ちます。
なんと名残惜しいんでしょう。んでめっちゃ晴れ。美しいブルーの海と空。予定通り10時に出港。徐々に遠ざかる与那国を見つめつつ、これから現実に戻される恐怖を噛み締めます。まぁ、まだ最後に航路で鳥見あるんですけどね。

カツオドリが飛び始めたのでデッキへ。
あ、あれ!!?これなんかもうすでにカツオドリじゃないのいるなおい!!!
アオツラの若いのだぁぁぁぁぁぁぁぁあ!めっちゃ近く飛んでくれるし!!裏切らないなぁ〜与那国航路すげぇなぁ!!行きも帰りも見ていいんですか。贅沢贅沢。15分ぐらいかな?船と一緒に飛んでくれて離脱しました。

アオツラ若

途中渡っている小鳥が見られたので撮ってみたらオオジュリンくさい。すごい。頑張れ〜!!

オオジュリンぽい

このあとはひたすらカツオドリ。まぁもう大満足ですよ…

カツオドリ

気付けば石垣。ここからバスで空港へ。あああ本州へ帰ってしまう…出発時刻まで時間があったので遅いお昼を食べて、お土産を買って飛行機に乗って現実へ戻りました。

こうして無事我々の遠征は終了。ケガなく終われてよかった…(右足が水には落ちたけど)
そして今回はほんとに色んな人にお世話になりました。ありがとうございました。ヨナグニシジミガムシやモリモトケシカタビロアメンボなど今回拝めなかった生き物をリベンジしに是非ともまた来たい与那国島。でも最低限目的のものも無事に採れ、憧れていた生き物を拝むこともでき大満足です。さて…卒論進めましょ…