2021年4月25日日曜日

どっちなんだい!

 たまには役に立つ(?)記事でも。
本州で見られるヒメアメンボ属で見分けの難関だと勝手に思っているコセアカアメンボとヤスマツアメンボの比較画像を作りました。


この二種は慣れないとぱっと見ではなかなか難しい気がしています。ヤスマツがよく山中や林道にできた水たまりとかにいることが多いと思いますが、ちょくちょく、コセアカだと思ったけどヤスマツやないかーーい!ってことがあったりしたので、油断しちゃダメですね。(自戒)
画像を見て頂ければわかると思いますがオスを捕まえて腹部を見て黒斑があったらヤスマツ!という覚え方をしています。コセアカとヤスマツが同所的にいるところもあるんですが、そういう場所だと割とコセアカの方がデカめという印象を受けると思います。が、やっぱりどちらか片方しかいないところでは不安になってくるので確実にするのなら腹部見た方がいいですかね。

あ、オスとメスが分からん!という方は二匹重なって水面を泳いでいる奴らの上に乗っている個体を採ってきましょう。

2021年4月18日日曜日

ご近所さん。

 まーたコロナ君が猛威を振るっておられますが早く滅びてください。
お散歩いっていますが、陸上の虫も楽しくなってまいりました。

ギンイチモンジセセリ

近所の草っぱらにはギンイチモンジセセリがいっぱい。このちょうちょ、一見地味なんですがめちゃくちゃ顔周りとかかっちょいいんで超好きです。蝶、だ け に ね。
少なくとも国内のセセリの中ではトップ。勿論セセリ全てを見たわけではないですが、ほんとに春型の翅にこの一文字入ってる感じとこのシュっとした雰囲気。最高です。ギンイチモンジ、地域によっては減っているそうですが、身の回りには割といる蝶という認識です。

あとこの時期といえば夏鳥がちらほら来て楽しい時期なので鳥も見ているわけですが、この日は林の中からからサシバの声が聞こえるなと思って探してみたら、

カケス

カケスでした。さすがに饒舌でよく聞くと色んな声をだしています。時々「ゲエエエエエエエエエエエ」とかカケス丸出しの時があるのがいいですね。(当たり前ですが)

そういえば、トンボも出ています。

シオヤトンボ

シオヤはもともと確か出るのが早いトンボですよね。青いのも見たいところ。
ハラビロトンボももう少しでしょうか。待ち遠しいものです。

というわけでたまの水生昆虫が出てこない記事でした。もうしばらくはこの自粛生活が続くんでしょうし、この夏もご近所の生き物たちをじっくり見る時間は増やしたいところですネ!

2021年4月10日土曜日

長翅型

 ちょっくらフィールドに出てきました。


もうしばらくするとこの沼はヒシに覆われるんですが、まだの様子。甲虫はキベリヒラタガムシとヒメガムシがいたぐらいで少なかったんですが、水面はアメンボたちでにぎわっておりました。
ババアメンボ Gerris babai
長翅型

今回紹介する一種目はこちら。ババアメンボ。ババアメンボ自体は何度かこのブログにも登場していますが、長翅型の白バックは撮っていなかったんですね。長翅型はヒメアメンボに似てはいますがサイズが小さいですし、慣れてくれば雰囲気も違うので見分けられると思います。まあ確実なのは雄の腹板を見ることではあるんですけど。にしても写真だと伝わり辛いのが悲しいですがこの翅の色が最高です。最高にステキなブルー。野外だと日の光に照らされてもう変な声でますよ。ひょおおおお!とか言ってる

ババアメンボ短翅型

上の写真は短翅型のババさん。ほんとに可愛らしいアメンボなのです。全人類一回現物を是非見て頂きたい。

そして本日二種目はこちら。
ハネナシアメンボ Gerris nepalensis
長翅型

最早ハネナシではないハネナシアメンボです。本種もちょくちょく当ブログには登場していましたが、長翅型の白バックは初登場。普段は浮葉植物の上にいっぱいいることが多い本種でしたが、ヒシの葉がまだ出ていない今頃は普通にババアメンボ達と一緒に岸際の水面をうろちょろしていました。ハネナシの長翅型は国内の同属他種に比べ白と黒のツートンがはっきりしているイメージです。

ハネナシアメンボのしっかりハネナシ型

前にも載せたハネナシの無翅型です。比較にどうぞ。長翅・無翅問わずヒメアメンボ属のなかではゴツイ印象を受ける種ですね。

この水場、ババアメンボとハネナシアメンボとヒメアメンボが同じ視界に入ることもしばしばあり、ヒメアメンボ属の同定を修行するのにうってつけみたいな場所でした。慣れこそ必要ですが、慣れてしまえばこっちのもの。皆さんも水草が割とあるような沼では要注意です。色々いるかもしれません。

2021年4月1日木曜日

国宝エグリタマ

 今日はとある虫の紹介をします。
この方です。
エグリタマミズムシ Heterotrephes admorsus

かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!ふぇふぇふぇふぇふぇ
逆さ泳ぎをするのでこれは腹面が上に来ています。タマが和名にはいっててもう一種背泳ぎするガムシがそういえばいましたね…

ちょっと角度変わっただけ。

顔にある黒いM字の模様がキュートさに拍車をかけています。大きさは2mmちょっとです。
さてこのエグリタマくんなんですが、タマミズムシ科のタマミズムシ属のお方。実はこのタマミズムシ科は国内からはこの一種しか知られていません。しかも分布は奄美群島だけ。国宝です。国宝でした。
もう一つ、形態的な話になりますが昆虫の体のつくりというのは学校で習いましたよね。頭と胸と腹に分かれていて脚は六本。みたいなやつです。このエグリタマなんですが、なんと頭部と胸部が半融合しているため、実質的にこの学校で習った常識が通用しないということになっております。すんげえ。すんげえな。


エグリタマは上の写真のような渓流の流れが緩やかなところにある植物の根が垂れて水につかったようなところから多く得られていますが、流木にもいたりします。奄美にいけば「割といる」種類なのかなとは思いますがどうなんでしょうか。


見た目こそキュートですが肉食です。家では冷凍赤虫を目の前でちらつかせると吸います。

あ、この写真ですが、これ交尾してますね。えー…繁殖、やってみたいところではありますが、できるんでしょうか…

というわけで国宝エグリタマでした。奄美の水生昆虫を代表する、いや個人的には奄美の生き物の全体なかでもかなりアイコニックな種だと思います。クロウサギとかルリカケス等々と並ぶぐらいに。知名度こそ低いですがとてつもなく魅力的な生き物です。