2019年9月21日土曜日

G阜珍道中 夜叉源五郎編

わが国には、種の保存法という法律が存在します。これは大雑把に言ってしまえば、国内希少野生動植物種に指定されている種の個体の取り扱いの規制や生息地の保護を推し進めるための法律です。指定されると、採集はもちろん、販売、譲渡、輸出入等が原則禁止されます。
そんな国内希少野生動植物種に指定されているゲンゴロウは日本で五種。

  • マルコガタノゲンゴロウ
  • フチトリゲンゴロウ
  • シャープゲンゴロウモドキ
  • マダラシマゲンゴロウ
  • ヤシャゲンゴロウ
以上の五種です。全員とんでもなく魅力的で心躍る名前ですね。
ゲンゴロウ関連、生息地などの情報はネットなどに流していいものでないことはどう考えても明らかですが、唯一、ヤシャゲンゴロウだけは、生息地が大々的に公表されています。というか、そこにしかいません。今回は、あくまで生息地が大々的に公表されているとして、こちらのブログでもヤシャゲン見てきたぞ!記事を公表いたします。
ヤシャゲンは、平成八年にゲンゴロウのなかでは最もはやく国内希少野生動植物種に指定を受け、その後平成十七年に保護増殖事業計画が策定され、生息地のある福井県では域外保全として繁殖に挑戦もしています。

そんなヤシャゲンの生息地は、福井県と岐阜県の県境、(福井県ということになっているらしい)標高1099mに位置する、夜叉ヶ池という池です。
ここは過去に干ばつから村を救うために娘が身を投じた(龍となり)という伝説が残る池で、池のほとりには神社も存在します。そんな夜叉ヶ池はヤシャゲンの世界唯一の生息地としてゲンゴロウ好きの僕にとってもいわば神域であります。

その神域への挑戦権を今回のG阜遠征で手に入れたわけです。夜叉ヶ池にたどり着くには、それなりの登山が発生します。MAX標高300mちょっとの山しかない県に住んでいる僕には特定した辛いのではないかという不安を抱えながら登山スタート。

登山道入り口

もうちょっとヤシャゲンは実物に似せてもよかったんじゃないの...?という気もする。
 
沢渡り

結構な数の沢を渡ります。
登ったと思ったら下って…といような初心者には比較的精神にくるような登山です。

幽幻の瀧

横の解説パネルに、池に身をささげる前に娘がここで身を清めたみたいなことが書いてありました。

疲れを癒す...
アサギマダラ(Parantica sita

良い色してるなあ...

恐らく最大の難所

手前の白っぽい岩の面をに登っていきます。奥のグレーの岩壁はさすがに登りません。
あれ、これ素人が登るところじゃなくね????

岩壁を登った先からの景色

だめだ雑魚には普通に辛い。
というかこれほんとにこんなところに池なんかあんのかよ?

あ っ た わ

これが、伝説の地、夜叉ヶ池...
池の縁に木道が整備されており、近くまで行くことができます。

神域に突入

にしても奇麗な池です。水草はほとんど生えておらず、底面も砂というか砂利というかみたいな感じで、ゲンゴロウが好む環境とは思えませんが...

ヤシャゲンゴロウ(Acilius kishii

い、いるううううううううううう!!!!!
しかも数がすごいいるううう!!!

すいっすい~

まじかまじか
これがヤシャゲンなのか。
図鑑で見てて思ったけどやっぱメススジと同じじゃね...?

ヤシャゲンゴロウの解説をもう少ししますと、体長が15mm前後の中型種で絶滅危惧ⅠB類(環境省)、水面に落ちてきた虫や、弱ったイモリ等を捕食していると思われ、見た目はメススジゲンゴロウに酷似しています。最初はメススジの亜種として記載されましたがその後独立種として記載されています。メススジとの違いとしてヤシャゲンはメスでも上翅に溝が認められないという点が挙げられます。産卵は朽木のくぼみなどに行われるらしいです。あと飛んだという報告もないとか。(現地の看板より)
この池には、本来流水性のゴマダラチビゲンゴロウがなぜか生息しているという話は前から聞いていましたが、数は少ないながらほんとに観察できました。(双眼鏡で池をめっちゃ覗きました)にしてもヤシャゲンやゴマダラチビの存在はほんとに不思議です。ゴマダラチビもいずれヤシャゴマダラチビとかって名前がついたりする日がくるかもしれません。
この池の他の生き物は、アカハライモリや、モリアオガエル、トンボ類などで、魚類は生息していません。

我々が登山した日は日曜ということもあって登山勢とかなりお会いしましたが、池のほとりから、「ほら、ヤモリいっぱい泳いでるよ!!」という声があったり、

ヤモリが泳ぐ...???

少しお話をした登山勢との会話で。
登「なんかいます?」
僕「ヤシャゲンゴロウ、いますよ(目キラキラ)」
登「あー。(なにいってんだこいつっていう目)なんかさっき足の生えた魚みたいなの泳いでましたけど。

足の生えた魚…???
何故スズキなのか
違うだろーーーー!!!!
いや、それ、

アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster

だろーー!!!
後者の、肢の生えた魚ってのは、モリアオガエルの肢が生えた幼生かもしれないですね。

せっかく登山して自然と触れ合ってるんですから、イモリは分かってほしいものだと生き物好きとしては思います...登山って山登りながら生き物や植物を見ながら登るもんじゃないんですか…?いや僕はそっちの業界事情はしらないからアレコレ言えないですけど。(僕の中ではそういうもんだと思ってますが。)というか登山やってんのにイモリわかんないのかっこわるくない?

先ほども言った看板。

うおおおおい!!学名の表記がお粗末だぞ!!
種小名の頭文字が大文字になってるし、記載者名が斜体になってる??

こういうところは細かくてもしっかりやってほしい気もします。せっかく普及啓発するんだからさあ。

というわけでヤシャゲンレポートでした。とっても神秘的な池でしたよ。ゲンゴロウ好きなら一度は是非。夜叉ヶ池がこのままの姿で、ヤシャゲンをはじめ生き物たちが暮らせる環境を残していけるようにするのが我々世代の責任です。最後にお気に入りの一枚を。

ヤシャゲンピンチ。




ヤシャゲンに関する参考文献:森正人,北山昭「改訂版 図説日本のゲンゴロウ」2002年(文一総合出版)


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