2020年12月31日木曜日

2020を振り返る

 前回の投稿からしばらく空いてしまいましたが、年内最後の更新です。
IROMT の話、まだ終わっていませんが今回はいったん振り返り。いやーーまさか未知のウイルスと人類が闘う年になるとは思っていませんでした。お陰で三月末に予定していた諸々の遠征が中止になり、キレ散らかしておりました。こちとらストレスからなのか帯状疱疹出たんやぞ
ともかく、そんな一年でしたから基本的には近場を見直すという年になったわけです。下火になったタイミングで少し遠出もしましたけどね。幸いこの趣味は密にはなりえない場所で黙々とやることになるので、近場であればあまり自粛する必要はないことがほんとに助かりました。(勿論近場での話ですが)フィールドに出ることさえ封じられていれば精神が崩壊し人でなくなっていたかもしれません。今年一年は生き物をやっていてよかったと心から思える年であったことも確かです。それから今年は水生半翅の沼にがっつりハマった年でもありました。それまで水生甲虫がメインで、半翅は認識はしてるけど「あんまり手ださんとこ。」だったのですが地元の水生昆虫を全般的に見ていたらまあこの半翅が面白いわけです。特にアメンボと名がつく虫を追っかけておりましたが幸運なことに今のところちょっとここには大声で書けないような出会いがあったりもしました。そんなわけでこの記事では嬉しかった生き物との出会いをごく簡単に振り返ります。

虫だけでなく鳥からも一種いきましょう。

オオカラモズ Lanius sphenocercus

コロナがちらほら国内でも出始めたころでしょうか。割と近所にオオカラモズが入ったという一報を聞きつけ見に行きました。カメラマンも沢山いるという前情報で普段はあんまりそういう場所には行きたくないタイプですが、なにせ相手が図鑑で憧れていたオオカラモズということもあり駆けつけたのでした。その大きさとセンスが良すぎるカラーリング、そしてなによりもカッコよさに感動でした。

これ以降クソコロナのお陰で地元の水場を見つめなおす機会がかなり増えます。

オオミズスマシ Dineutus orientalis

まずはえーー!!近場にいたんかい!!というオオミズスマシ。春先に見つけた水場でしたが、よく見たら水面をくるくるするなにかがいたわけです。ミズスマシの仲間は減少中ですし、ほんとに徒歩五分ぐらいのところにいるというのは嬉しい限りでした。繁殖チャレンジしましたがエサ問題でうまくいかず。来年はリベンジしたいところです。

エサキアメンボ Limnoporus esakii

こちらも嬉しかった地元の虫。エサキアメンボです。種の存在自体は知っており、前々から見たことのある種でしたが地元で見つかりじっくり見てみたら恐ろしくカッコイイ虫であることに気付いてしまいました。結局この夏地元からは二か所産地を見つけることができました。

遠洋性ウミアメンボ達

そしてこちらは今年イチの出来事と言っても良いと思います。県内での遠洋性ウミアメンボ三種のコンプリートです。大量に漂着していたことも嬉しかったですがなによりここには流れてきているだろうという読みが当たったことが嬉しかったです。当時の超ハイテンション記事はこちら

オウサマゲンゴロウモドキ Dytiscus latissimus

夏にはふれあい昆虫館にもお邪魔しました。オウサマゲンゴロウモドキをはじめとしてスジゲンゴロウやタイワンオオミズスマシ、トゲアシアメンボ、マルコガタノゲンゴロウなどマニアックすぎる展示が大変に刺さりました。オウサマゲンモはめちゃくちゃカッコイイし。次はマスクなんかしなくても行けるタイミングで行きたいと思います。当時の記事はこちら

コバンムシ Ilyocoris cimicoides exclamationis


コロナ下火感があった時期のプチ東北遠征の最大の成果であるコバンムシ。グリーンが美しすぎる個人的日本産水生半翅の最高峰。来シーズン繁殖させまっせ!!こちら

タカラナガレカタビロアメンボ Pseudovelia takarai

最後はギリ滑り込み感があった某所への調査同行。知人が偶然採ってきてくれてからというもの一目惚れしたタカラナガレカタビロアメンボの採集が実現。この上なくカッコイイカタビロを採集でき幸福なり。

という一年でございました。思い通りにいかないことが多々あったことは確かですが、いかに自分が地元の水生昆虫を把握していなかったのかということを痛感した一年であったと思います。また今年は一人で採集も多かったですが、お誘い頂いてフィールドに出たこともありました。来年もコロナ的にどうなるかはわかりませんが、機会あれば誘い誘われで宜しくお願いいたします。また当クソブログを覗きに来ていただいたすべての方に感謝いたします。ありがとうございました。それでは皆様良いお年を。






2020年12月20日日曜日

IROMTの水生昆虫 その4

 少し間が空いてしましまいましたが、第四弾。今回はカタビロアメンボ科から。

タカラナガレカタビロアメンボ Pseudovelia takarai

はい、出ました。先日この記事で紹介し一発で虜になってしまったカタビロです。もう恋
タカラナガレはISGK島・IROMT島からしか記録がありません。大きさは本州のナガレとそこまで変わりませんが、メスもオスもスリムな体型です。とにかく赤いので見分けは割と簡単なんじゃないかと思っています。もう一種同属のヒラシマナガレという種がいてこやつは分布域が被っていますが今回は採集できませんでした。敗☆北
いや~これだけは採らんと帰れないという気でいましたが沢の淀みで割と普通に見られました。(勿論見つけた時は大変に興奮しました。)いやまあもう動いているのを見られただけで感動。
しかしまあこんな酷い上の白バックモドキ写真でもわかるかっちょよさ。飼育下でルーペにスマホくっつけて撮った写真があるのでそっちをどうぞ。


ほわあああああおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
神です。最高ですか。絶妙な赤さ。国宝。あ~~~~~


~語彙力が低下したのでおしまい~
なんだこの記事

2020年12月15日火曜日

風物詩

 今日は水昆じゃなくてちょこっと鳥の話題です。突然ブレる記事!!当ブログクオリティ!
先日近所を通ったのでもう来てるやろと探してみたら。

コクマルガラス Corvus dauuricus
ミヤマガラス Corvus frugilegus
属名のカッコイイ感じ。去年も言った気がする

いた。
いぶ遠くからでも群れてるの見えるし近づいたらキョンキョン鳴いてるしで田園風景での存在感はすごいです。今冬も見られる安心感。コクマルは全くちゃんと数えていませんがまあ最低20羽はいたでしょう。パンダタイプもちょくちょくいました。コクマルはホントにサイズ感が可愛すぎるのですよ。ミヤマはミヤマで嘴の付け根が目立つ感じとか好きです。ていうかカラスって全員かっこいいんじゃ。
というわけでミヤマコクマル組の皆様、今冬もちょくちょく会いに来ますのでよろしく~

オマケ。

最近宇宙関連のほうで名前をよく聞くHAYABUSA

はるか上空を飛んでいたハヤブサ。なんかハヤブサ久々に見ました。かっこいいゼ!!

2020年12月10日木曜日

IROMTの水生昆虫 その3

 今日は大きなヤツで行きましょう。

コガタガムシ Hydrophilus bilineatus caschmirensis

か”わ”い”い”!!
この角度睨まれているように見えるのたまらないですね。ヘンタイ性の高いコメント
コガタガムシさんにご登場いただきました。大きさは25mm前後。でっかいです。写真だけで見るともっと大きい無印ガムシと変わらない見た目ですね。今回は休耕田で一個体だけ泳いでいるものを採集できました。分布自体は本州~南西諸島なんですが、本州では激減しているようで採集は難しいと思われます。絶滅危惧Ⅱ類(VU)なので、沢山採るのはやめましょう。今回採った休耕田(許可有り)は後々紹介する他のゲンゴロウや水生半翅も非常に多く見られました。素晴らしすぎて死ぬかと思いました。逆にいえばああいう環境が過去には沢山あったのかと思うと心が痛かったりもします。

はい、話を戻しましょう。コガタガムシの特徴はガムシのガ(牙)。

ガムシのガ(牙)!

後胸腹板にあるトゲ(ガムシの牙)が非常に長いんですね~カッコイイポイント一億点。サイズ感で無印ガムシと見分けられますが、困ったらここを見れば一発というわけです。(ちなみに無印ガムシは後脚の付け根よりちょっと長いぐらいです)
というわけで主に南の島で大きいガムシが泳いでいたら腹面をチェックだァ!!
しかしこの手の大きいガムシ、めっちゃ撮影が難しいです。前に記事にしたティッシュ戦法を使っても、つかんで落ち着いてはくれるのですが、浮力が大きいようでティッシュごと浮いてきてしまい上翅の一部が水面上に出てしまいます。今回の白バックはかなりマシに撮れた方です。なんか良い方法ないんでしょうか…

2020年12月6日日曜日

IROMTの水生昆虫 その2

 第二弾です。
今回は半翅目からです。

タイワンシマアメンボ

というわけでタイワンシマアメンボさんです。(写真の個体はオス)今回最も多く見かけたアメンボといっても過言ではなく、ある程度流量がある沢ではほぼ確実にみることができました。アトホシヒラタマメゲンゴロウがポットホールから採れた話は前回記事にもしましたが、規模の大きなポットホールなんかにはもういっぱいいました。うじゃうじゃ。あんなにいたのに現地での写真撮り損ねていますが。だって沢は結構暗いしタイワンシマ動き早いしロクに撮れないんだもん!
先日記事にしたシマアメンボとは背面の模様や、オスでは前脚腿節がタイワンは太くなることや、タイワンの方がシュっとしていてスリムな体型であることで見分けがつきます。そもそもタイワンと無印シマアメンボは分布が被ってはいないはずなので、沖縄本島以南でシマアメンボ属を見つけたらタイワンということになります。
あ、それと日本産のシマアメンボ属は無印シマアメンボと本種の二種のみになります。なのでそうなってくると並べてみたくなりますよね。なりますよね?え?ならない?


無印シマがメスでタイワンがオスだし、微妙に角度違うしでヒドイですが、まあシマアメンボ属が二種並んだというだけで…いいじゃないですか…かっちょいい虫たちですよ…

2020年12月1日火曜日

IROMTの水生昆虫 その1

 実はここ数日、こんなご時世ではありますが某島のほうに少し調査に出ていました。数か月前から企画自体はありましたが、直前になってコロナ感染者数が急増。今回は不要不急ではないということで決行しましたが、感染防止対策に加え、竹富町からの発熱が出たら連絡する」という旨の同意書やSMSによる一週間にわたる健康観察アンケートに参加し臨みました。はやくコロナを気にせず遠征が出来るようになる時代が来てほしいものです。

今回からは西表島で見ることができた水生昆虫をちょびちょび紹介していきます。
まずは秘宝ゲンゴロウから。

西表島には渓流にいくと写真に写っているような丸いポットホールと呼ばれる穴が沢山あいている場所があります。大きさは大小さまざまで、深さにも差があります。

ポットホールいっぱい
すごくよく滑ってこけた

こういう穴にはエビなどもいるんですが、いくつかの穴で素晴らしいのをみつけました…

秘宝兼国宝

当時の状況
同行者「○○(僕の名前)、多分これゲンゴロウだよね?」
ポットホールの水面でケシカタを見ていたぼく「まじで?」
同行者「黒くて白っぽい帯みたいなの入ってるわ」
僕「そ、それは!!」
「あああああああアトホシィィ!!」

アトホシヒラタマメゲンゴロウ  Plantynectes chujoi

超美麗種。

大きさは5~6mmほど。最初こそ同行者が見つけましたが、その後は別の落ち葉が堆積した浅いポットホールからも多くの個体を発見できました。面目キーープ
けっして大きくはないですが、その圧倒的なカッコよさは個人的には日本産ゲンゴロウのなかでもトップクラスだと思っています。八重山諸島にのみ分布し、上述のポットホールや染み出しなど流水域に生息しています。ポットホール内は薄暗く、今回はライトで照らして探しましたが、ライトにあたって輝くその姿には感動です。黒と白っぽく見えるこの上翅の帯と紋のコントラストが非常に美しく、見ていて飽きません。名前にマメゲンゴロウとありますが、マメゲンゴロウ属でもモンキマメゲンゴロウ属でもなく、ヒラタマメゲンゴロウ属で、国内では本属唯一の種となっています。

というわけで第一弾は秘宝アトホシでした。